春巡業藤沢場所は、こうして生まれた
藤沢市の春を彩るイベントとして定着した「藤沢場所」。その第一回目は平成2年の春に「チャリティー大相撲藤沢場所」として開催されました。
以来毎年、高齢者や福祉施設の方々や近隣小・中学校の児童達を招待、藤沢市愛の輪基金ならびに日本赤十字社神奈川県支部、(財)藤沢市スポーツ振興財団への寄金など地道な福祉活動を続け、平成12年には、(財)日本相撲協会より勧進元の最上重夫氏(写真左)に「木戸御免」の証が贈られました。(写真下)
藤沢のように市をあげて、巡業開催を後押ししている地は全国でも稀のようで、「それが何より嬉しく励みになります。」と常々語る最上重夫勧進元ですが、藤沢場所開催のきっかけとなった大相撲とのかかわりは古く、30年前の大学時代に遡ります。
当時、親交のあった床山さんを介して、両国の春日野部屋で、先々代の春日野親方(第44代横綱・栃錦清隆、元・日本相撲協会理事長)と、知り合ったところがそのスタートと言えましょう。「何度も部屋に遊びに行くうち、子供のなかった親方とおかみさんに実の子のように可愛がってもらった。」という交流は、勧進元が藤沢で事業を興してからも続き、藤沢でのある講演会の講師にぜひ親方をと、大阪まで出向いて実現させたのは、昭和63年6月の事でした。
奇しくも親方にとっては最後となった藤沢での講演でしたが、終了後、会場の市民ホールから宿泊先のホテルまで歩いて帰られる親方を送る際にたまたま赤信号で立ち止まった親方が「最上君、藤沢で大相撲の地方場所をやってみなさい。僕が保証人になるから。」と勧めてくれたのでした。長年、培われた信頼感のもと、こうして大相撲藤沢場所が誕生したのでした。
大相撲藤沢場所の大成功を見ることなく、先々代春日野親方は平成2年1月9日に帰らぬ人となりました。「今でも先々代が見守ってくれている様な気がしてなりません。」という最上勧進元の想いと共に藤沢場所は、また新しい一頁を加えようとしています。